絵馬の歴史は古く、奈良時代以前、収穫の安定こそが願いであった時代に、五穀豊穣・国家平安を祈り、天界と人間界の神の乗り物として生きた馬を使い、陽乞いに白馬(太陽)を、雨乞いに黒馬(雨)を一対にして神事を行ったのが始まりです。
やがてその神事が全国に広がって、生きた馬の代わりに、木版に描いた絵馬を使うようになったのが、絵馬のはじまりと言われています。
その後、武家や豪商人たちが神社・仏閣の絵馬堂に、有名な絵師による大型の絵馬をかけるようになり、一気に全国へと広がりました。そのころ各地に絵馬屋と称する商売屋ができ、国家平安・五穀豊穣・商売繁盛・家運隆盛を願って、沢山の絵柄が絵師によって作られました。
一方庶民はというと、小型の絵馬を自ら描いたり、絵心のある者に描いてもらい、身近な神仏の周りに絵馬を掛けて平穏な生活を祈りました。医者もない時代、祈りで病を治す切実なものだったのでしょう。
さて、絵馬の制作がもっとも盛んだったのは江戸時代中期の頃で、絵柄も悩みの数だけ種類があったと言われています。
しかし最近では、正月の干支絵馬か入試合格の祈願絵馬しか見かけなくなりました。
絵馬師・岩田義一は、この歴史ある絵馬の伝統文化を現代に蘇らせることができる絵馬師です。伝統絵馬から現代感覚豊かな創作絵馬まで、手描きで製作できる唯一人の絵馬師なのです。


金刀比羅宮 絵馬堂


